優しい声の世界
ゴールデンウィークも雨が多く、少し湿度が高いですね…
歌うこと自体が良いストレス解消にもなっているので、ちょっとした事もなんとか乗り越えながら頑張っています。
このゴールデンウィークには生徒さんも色んなコンサートで活躍しています。
レッスンをするようになってもう8年ほどになりますが、
若い歌手たちもどんどん色んな舞台へ出ていくようになりました…。
オペラでも主要な役を歌う人も増えて来ました…
私には感無量なところがあります。
活躍している彼らは歌に対して深い挫折を味わって来た人が少なくないからなのです。
高音が全く出なくて歌をあきらめてブランクのあった人…
それまで習った学校や先生に歌を諦めるよう薦められた人…
声帯に故障や麻痺を抱え声を出すのも一苦労だった人…
…オペラや舞台で歌うのが夢のまた夢だったという人も少なくないのです…
こうした人たちが、歌いたいという気持ちを持ち続け、藁にもすがるつもりで私のところを訪ねてきてくれました。
私は、こうした人達を、なんとかしてあげたいと
本当に感じました。
声を出すこと自体が恐怖になっている人達を
どうにかしてあげたかった…。
従来の教授法では、さじを投げられてしまった人達のためにも新しい教授法を考えよう…
ベルカント唱法の一流歌手を手本にとった物理的解析、医学的研究、歌手として自分の声での証明…
こうした試みをずっとすることを決めました。
初めはなかなか上手くいかない事もたくさんありました…。
自分に出来ても人に出来るとは限りませんし、
理解するのと実際に出来るのとは全く別の問題になるからです。
なかなか教える事が上手くいかず、自分自身に苛立ったり、いやになったりする事もありました。
いや、それは今も変わっていないのかも知れませんが…(笑)
人間の構造の説明や海外の一流歌手のイメージについての科学的説明が一つ一つ出来るようになってくると…
何か、絡まった糸が一本一本ほぐれていくように
生徒さん達の声が向上していきます。
更には、一人一人、違った癖や症状を持っており、治す私にも何が悪いのか正確に聞き取る耳が要求されました。
こんな具合です。
「右の声帯が下がっています。少し右の声帯の後ろを上げて」
「腰の筋肉のバランスが崩れています。」
「喉頭蓋が閉じ気味です。頭の皮を少し前に引っ張って」
「頭声が左が鳴っていません。左にも声を回して」
「小脳テントに音が到達していません。卵円孔に声を入れて。」
「口内で声がスクリューしていません。口の中で二つスクリューを作って」
などなど…
どこが悪いのかを細かく見抜けるようになってきた頃に
あれほど出なかった生徒さん達の声が段々と出るようになり…
歌いたかった曲が歌えるように生徒さんがなっていき…
今ではたくさんの生徒さんがオペラやコンサートで活躍するようになりはじめたのです。
私の未熟な時には、歌を諦めさせてしまった生徒さんもいたりで、それが今でも心残りであったりもしています。
今では歌っている生徒さんたちが沢山の幸せを聴く人に与えて欲しいと思いますし、
趣味で歌っている人には歌う幸せを味わって欲しいなと思います。
聴く人も歌う人も幸せを感じる…
人が優しくなれる世界を少しずつでも作っていきたいな…
そんな事を考えるようになっています。
こうした歌を歌うようになった生徒さん達に感謝したいなぁと思います。
まだまだ歌にはたくさんの謎の海が広がっています。
今日もまた一つ一つ謎を説き明かしていこうと思います。
歌うこと自体が良いストレス解消にもなっているので、ちょっとした事もなんとか乗り越えながら頑張っています。
このゴールデンウィークには生徒さんも色んなコンサートで活躍しています。
レッスンをするようになってもう8年ほどになりますが、
若い歌手たちもどんどん色んな舞台へ出ていくようになりました…。
オペラでも主要な役を歌う人も増えて来ました…
私には感無量なところがあります。
活躍している彼らは歌に対して深い挫折を味わって来た人が少なくないからなのです。
高音が全く出なくて歌をあきらめてブランクのあった人…
それまで習った学校や先生に歌を諦めるよう薦められた人…
声帯に故障や麻痺を抱え声を出すのも一苦労だった人…
…オペラや舞台で歌うのが夢のまた夢だったという人も少なくないのです…
こうした人たちが、歌いたいという気持ちを持ち続け、藁にもすがるつもりで私のところを訪ねてきてくれました。
私は、こうした人達を、なんとかしてあげたいと
本当に感じました。
声を出すこと自体が恐怖になっている人達を
どうにかしてあげたかった…。
従来の教授法では、さじを投げられてしまった人達のためにも新しい教授法を考えよう…
ベルカント唱法の一流歌手を手本にとった物理的解析、医学的研究、歌手として自分の声での証明…
こうした試みをずっとすることを決めました。
初めはなかなか上手くいかない事もたくさんありました…。
自分に出来ても人に出来るとは限りませんし、
理解するのと実際に出来るのとは全く別の問題になるからです。
なかなか教える事が上手くいかず、自分自身に苛立ったり、いやになったりする事もありました。
いや、それは今も変わっていないのかも知れませんが…(笑)
人間の構造の説明や海外の一流歌手のイメージについての科学的説明が一つ一つ出来るようになってくると…
何か、絡まった糸が一本一本ほぐれていくように
生徒さん達の声が向上していきます。
更には、一人一人、違った癖や症状を持っており、治す私にも何が悪いのか正確に聞き取る耳が要求されました。
こんな具合です。
「右の声帯が下がっています。少し右の声帯の後ろを上げて」
「腰の筋肉のバランスが崩れています。」
「喉頭蓋が閉じ気味です。頭の皮を少し前に引っ張って」
「頭声が左が鳴っていません。左にも声を回して」
「小脳テントに音が到達していません。卵円孔に声を入れて。」
「口内で声がスクリューしていません。口の中で二つスクリューを作って」
などなど…
どこが悪いのかを細かく見抜けるようになってきた頃に
あれほど出なかった生徒さん達の声が段々と出るようになり…
歌いたかった曲が歌えるように生徒さんがなっていき…
今ではたくさんの生徒さんがオペラやコンサートで活躍するようになりはじめたのです。
私の未熟な時には、歌を諦めさせてしまった生徒さんもいたりで、それが今でも心残りであったりもしています。
今では歌っている生徒さんたちが沢山の幸せを聴く人に与えて欲しいと思いますし、
趣味で歌っている人には歌う幸せを味わって欲しいなと思います。
聴く人も歌う人も幸せを感じる…
人が優しくなれる世界を少しずつでも作っていきたいな…
そんな事を考えるようになっています。
こうした歌を歌うようになった生徒さん達に感謝したいなぁと思います。
まだまだ歌にはたくさんの謎の海が広がっています。
今日もまた一つ一つ謎を説き明かしていこうと思います。
歌に寄せて

最近はオペラの楽しみについて考える事が多くなっています。
近頃は私もいろいろなオペラに出演したり、また舞台を作ったりさせてもらえるようになりました。
とてもありがたい事だと感じています。
今の時代はメディアが豊富ですから、様々なエンターテイメントがあります。
インターネットの普及で家から一歩も出なくても世界中のエンターテイメントを見る事が出来るようになりました。
その中でオペラは一つ異色な存在であるのかも知れません。
人間のドラマをセリフではなくほとんどを歌いながら表現しつつ演技をする。
マイクを使わず生の肉声を最大に効率良く用いて…です。
セリフだけでは説明しきれない、複雑な心の表情を音楽でも表情しつつ生の声でメッセージを伝える、と言うのは言葉で表現するより遥かに大変な事だなぁと感じます。
昨年、被災地に行ってコンサートをしたことがありました。
その時にこんな体験をしたのです。
コンサートの初めは、聴きに来て下さったお客様に元気をあげようと、明るい曲をいくつか歌いましたが、
拍手は返ってくるものの、何か手応えがありません。
コンサートの中盤で「星は光りぬ」を歌った時にお客様に異変が起こったのです。
お客様が泣いています。
たくさん、たくさん泣いています。
曲から出てくる悲しみに対して共感をしてくださったのですが…
普通のコンサートの数十倍の共感でした。
返って来たその巨大すぎる共感に、
なんと私の方が当てられてしまったのです。
悲しみの波が大きく舞台にまでやって来て、私までが大きな悲しみに包まれました。
後半は「椿姫」のハイライトでした。
ここでは更にお客様は大きな悲しみを抱いていました。
ヴィオレッタが亡くなるシーンでは会場中に大きな悲しみが起こりました。
アンコールではメリーウィドウのワルツを歌いましたが、
この時、私にも大きな異変がありました。
涙が出て歌えなくなりそうになったのです。
「泣くのはお客様。歌手は絶対に泣いてはいけない。」
と教えられて来た私は舞台上で泣いた事はありませんでしたが…
初めての経験をしてしまいました。
私にはこのコンサートが成功だったのか、分かりませんでした。
いや、今も分かりません。
ただロビーで長蛇の列を成したお客様ほぼ全員、私の顔を見て泣きながら握手をしに来てくれました。
「この地を癒してくれてありがとう」
そう言ってくださったお客様の言葉が、何か胸に突き刺さりました。
最後に楽屋周りの面倒を見てくださったスタッフの方にお礼をすると…
その方も津波で肉親を亡くされたとのこと。
笑顔で接してくれていたその方を改めて見て、愕然としました。
うまくまとまりもつかないほど自分の中で歌について混乱していました。
他人にこれを話しても上手く伝える事ができませんでした。
ただきっとこれからは、こうして人が悲しみに大きく共感したり、喜びに大きく共感したりする事によって、昇華していくものがあることを…
身を持って実感しました。
オペラはこうした大きな苦しみや悲しみの時代に発達した…
その意味を見たような気がしたのです。
いろんな人の気持ちを癒したり何かを昇華したり…そんなことが出来るようになっていかなくてはな、と
ようやくそう思える日々になって来ています。
呼吸で治す声

最近は呼吸について聞かれることも多くなりましたので少し、こうしたお話も…
声を出す前に息を吸うときは、鼻から吸うように心がけると、声が綺麗になってゆきます。
これはジャコミーニ先生から教えていただいた、大切な方法の一つです。
アンドレアシェニエのアリアを歌っている時に指摘された事がありました。
「舞台上で歌う時は、ホコリや木の屑などが舞っていることが多く、喉を痛める原因になることがあるから口から吸うのはやめておいた方がいい。
口から吸う人は声帯に細かい傷がつき声がザラザラしてくる。
また体の前の方に息が入ってしまうから、みぞおちが硬くなり、年齢と共に声が揺れてきてしまうので歌手としてのピークは短くなってしまう。」
とお教えをいただきました。
これは確かに大変です。
確かにこの時、私はGの音でみぞおちが硬くなり音が不安定になっていたのです。
鼻にはフィルターの役目もありますから大切な事で、鼻の中を大きく広げることでかなり大きな容積を作る事ができ、安定した吸気が出来ます。
さらにジャコミーニ先生に先生はコツとして
「足の裏から息を吸うようなイメージで吸うと腰が膨らむように深く入る。」
と言うことも頻繁におっしゃってくださいました。
余談ですがパヴァロッティが自伝の中でこのようなエピソードを書いています。
「ある時、夜の浜辺でコンサートを行ったが、ソプラノ歌手が口からブレスを取った時に、虫が口の中に飛び込んだ。そのためむせてしまいしばらくの間、歌う事ができなくなってしまった。私は準備出来ていたので大丈夫だ。」
長く良い声で歌っている歌手にとっては鼻からブレスを取るのは大事なこと、と言う訳です。
歌うと喉が痛みやすい人や、声のざらつき、声揺れに悩む人は鼻呼吸を心がけると効果があります。
どうぞ試してみてくださいね^^
茅ヶ崎オペラ『椿姫』

茅ヶ崎の椿まつりの一環として公演の『椿姫』が3月30日に無事終了いたしました。
昨年の鎌倉オペラ『椿姫』が好評だった事を受けての公演となりましたが、
前とは会場の広さや条件が異なるので
またひと味違った椿姫になったように思います。
私はアルフレードで出演しつつ演出でしたが…
キャストの熱演、裏方さんの強力なバックアップもあり、素晴らしい公演に仕上がっていくのが分かりました。
ヴィオレッタの野田さんは声にも磨きがかかり、熱のこもったヴィオレッタを演じていましたし、
ジェルモンの堀内さんは安定した歌唱と父親の深みを増した役作りでオペラに立体感が出ていました。
この日、充実したのは、更に物語の中に現れる
パリの人々でした。
フローラの鹿島さんは素晴らしい役作りでパリ社交界の華やかさと裏面を感じさせる、色気、したたかさ、そうした物を存分に出して、もう一人の『道を踏み外した女』を非常に好演していました。ここまで印象的なフローラにはあまり出会った事がありません。
ガストンの磯沼さんの粋な遊び人風の味のある貴族感、キレのある動きはパーティーシーンに男性の華やかさを出していましたし、
医者役の小林さんも
特異な医者として今までの椿姫にない踊りや歌を披露していました。
今回の大切な所、人々の上品ではない本音の部分を強く出すようにヴェルディが書いた楽譜を表現してくれたのは小林さんでした。
ジプシーの踊りの中に何故、この中で従来一番真面目であるはずのグランビル医師が乱入して楽譜に書かれているのかを体をはって表現してくれたように思います。
今回の椿姫の一番新しい切り口となりました。
アンニーナの中村さんは声に深みと響きを増し、説得力のあるアンニーナへと進化していました。
また踊りでもヴィオレッタアンダーの黒田さんとともに活躍していて、お二人の女性の踊りは目を奪われるものでした。
マルケーゼの平岩さん、ドゥフォールの幸田さんのお二人もまた
パーティーシーンやカードのシーンで
陽気さや緊迫感にいっそう磨きがかかっていました。
また合唱団の方々やジュゼッペ、伝令役の稲垣さん、長谷川さんも華やかさや楽しげな雰囲気を醸し出す名演だったように思います。
皆さんの熱気がとにかくすごい本番で今も熱に当てられているような…
そんな感じがします。
この様な名作を作曲してくれたヴェルディに感謝をしたい一日でした。
停滞した世界を一生懸命に生きていく人々の群像劇とも言えるようなこの舞台にも感謝です。
見に来てくださったお客様、関係者の皆様に深い深い感謝をいたします。
本当にありがとうございました。
震災から一年

震災から一年…
歌い手や舞台に携わる人間にとって
きっと大きく何かが変わった一年であったに違いありません…
多くの犠牲者…
津波…
放射線…
生きている私たちは
何をできるのか
どう生きていくのか
今も考え迷いながら
生きています。
歌う人間、
舞台を作る人間としての私は
震災後の世界を生きていく人々を
少しでも癒し…
少しでも励まし…
日本が復興していく
エネルギーを生み出したい…
そんな風に考えています。
ヴェルディがオペラでヨーロッパを一世風靡していたころは
戦乱の世の中で
たくさんの生と死を見つめていかなくてはいけない世界が広がっていました。
オペラは人々に生きるエネルギーや国を復興する気力を与えていました。
今、オペラ歌手として
ヴェルディに問い掛けられているように感じます。
『人々に生きる力を』
『復興の力を』
与えることができるか?
もがきながらも今を生きる私達は
やらねばなりません。
生きましょう。
強く生きましょう。
復興しましょう。
また
笑顔が溢れる日本に
しましょう…
頑張る人々に
光がありますように…






